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第五九話 月夜の死闘

Auteur: 文月 澪
last update Dernière mise à jour: 2026-01-14 16:00:00

「よ~い……」

 後ろで息を呑む気配が伝わってくる。

「どん!!」

 掛け声と共に猛烈なスピードで前に出る律。

 狙うは首だ。いくらデカい口を持っていようが首を落とせば意味は無い。だがその首は丸太の様に太く一筋縄では攻略できないだろう。まずは体力を削ぐ。そのためにも脚を攻めさせたが後続が遅れている。

「何やってるの!? ︎︎遅いよ!」

 叫びながらスライディングの要領で妖魔の首の下に入り込み、跳力を利用して深く突き刺す。それは根元まで埋まり、刀身を捻り抉りながら力任せに横に薙いだ。

 妖魔は雄叫びを上げ体を持ち上げる。がら空きになった胴体にアサルトライフルが火を噴いた。良い射撃の的になった妖魔の腹は無数の穴が開きドス黒い血がシャワーのように吹き出る。

 そこにやっと駆けつけた水戸と飯田が脚へ斬りかかった。

 水戸は脇差、飯田が太刀の妖刀だ。

 二人とも脚の裏側、腱を狙って攻撃をしている。しかし、分厚い肉に阻まれ功を成していない。そもそも今となっては、水戸達の妖刀より序列が上がってしまった妖魔には効果が薄いのだから無理もないだろう。この規模の妖魔は、本来ならいくつかの隊が連携を取って退治する案件だ。それをたった一班だけで対応するには限界がある。

 これは律が頑張らねば全滅も有り得た。律としてはいくら手駒が死のうが知った事では無いが、自分まで巻き込まれては困る。なんとしても優斗の元に帰らなければならないのだから。それに班員が死んだと知ったら、優斗が悲しむかもしれない。それは嫌だ。

 暴走しようとチリチリと疼く体を抑えつけながら頭を回転させる。

 どうすれば死なない?

 どう動かせば手駒を活かせる?

 考えろ!

 律の頭の中は優斗の笑顔で埋め尽くされる。あそこに帰るんだ。その意思だけで体を動かす。

 迫る爪を弾き、肉を裂き、血にまみれながら前に進む。何度も攻撃がかすり傷も増えていく。腕に足に体に。裂傷は増えていき、妖魔と自分の血が混ざり服が貼りついて気持ちが悪い。どうしても体重の重い妖魔の方が力が強く、捌ききれない。刀で受け

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